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アイドルコネクトについて 『Star*Trine』発売記念イベントを終えて

2017年9月17日は、どうやら忘れられない日になりそうだ。

『アイドルコネクト』( http://www.idolconnect.jp/ )という二次元アイドルコンテンツがある。大元は、2016年8月にリリースされ、僅か3ヶ月でサービスが終了したスマホ向けアイドルゲームである。

わざわざ「コンテンツ」という言葉を使ったのは、サービス終了後も、「ストリエ」で細々と新作エピソードの更新( https://storie.jp/creator/61294 )を続けていたり、未発表曲を収めたアルバム『キミが一度笑うなら、千回わたしは歌うんだ。』(しかし何度読んでもエモい表題だ)を発売したりと、なんとか活動を続けていたからである。

この際言ってしまうけど、この展開を追っかけていた人たちにとって一番大きな思いは未練だったと思う。本来であれば、他の数多くの二次元アイドルコンテンツと同様に、ゲームというプラットフォームを中心に展開されるはずのものが、それを失ってもまだ進み続けているという状況は、まあ、いろいろな比喩が思いつくと思うけど、少なくとも純粋に前向きなものではないだろう。

そんな中、2017年7月末に、登場アイドル全員が歌う、いわゆる全体曲として『Star*Trine』の発売発表と共に、発売記念ミニライブイベントが発表された。もちろん嬉しかった。彼女たちの歌を聴ける機会なんて訪れないと思っていたから。でも、このイベントがどういう意義を持ちうるか、ということについては、これまでの状況を考えれば、少なくとも自分の中での一番現実的な回答は「覚悟」だった。

ここで『Star*Trine』の歌詞をいくつか引用しておく。

"繋げていたい 星が足りなくても キミに放つ スタートライン"

"終わりの場所気づいても 星をたどり(星座結び) つなげていくの*キミ*まで!"

"初めの気持ち、無限の夢に変わる 「自分でありたい」 いつか笑う自分に ゆびきりをした"

 

当日は台風が近づいてきており、開催も危ぶまれたが、幸いなことに17日中はまだ関東には届かず、来場者も十分に集まっていて、まずその点で安心した。自分の列は前から4番目で、比較的ステージがよく見える場所だった。席には恵まれていたほうだろう。出演者はアイドル9人の中の3人、「春宮空子」役の森千早都さん、「瀬月唯」役の相坂優歌さん、「高花ひかり」役の芝崎典子さん。「せめてソロ曲が聴ければ……」、という思いで開演を待っていた。(以下、一気に書きます)

20:00、会場が暗くなり、始まるイントロ。まさかのソロ曲からのスタート! 空子を思わせる衣装で、『空になるよ、このハピネス』を歌う森さん。びっくりしたのが、ダンスの振りが本格的だったこと。「ちゃんと”ライブ”をやってくれるんだ!」ということに、まず感動していた。少なくとも、ちゃんとこの場を「ライブ」として作ろうとする意思が感じられた。その後、ひかり役、芝崎さんの歌う『spica heart』、唯役、相坂さんが歌う『恋する私←New!』が終わってMC。このイベントが開催されたことに対して、演者としても驚きだった、と冗談めかしながら話す様子に救われた気分になった。キャラクター同士としてののわちゃわちゃも見られてだいぶこの時点で気分は上向いていたと思う。そして「まだ終わりじゃないからね」というような旨を言われ、「えっ?」と思う間もなく、「がんばってね、空子」と唯として声をかける相坂さんと、それに続き舞台袖に下がる芝崎さん。そして、空子、もとい森さん一人がステージに立ち、なんとソロの2曲目が始まる。まさかの連続だ。1曲目の時よりも自然と応援に力も入る。空子曲『青春ハイタッチ』でクラップを煽る森さん、アイコネ一難しいだろうひかり曲『あなたらしく私らしく』を歌いきる芝崎さん、『WHITE PAGE』の唯として完璧なパフォーマンスを見せる相坂さん。そして2回目のMC。興奮冷めやらぬ中、スクリーンが下りてくる。写されるのは『アイドルコネクト』のキービジュアル。この日三度目のまさか。そして発表される「ノベルアプリ化決定」の報。大歓声の会場。演者さんからの「ノベルアプリだよ勘違いしてない?」。そんなわけがない。それこそが最も望んでいたものだったんだ。そしてこの日歌われる最後の曲はもちろん『Star*Trine』。なんなんだこれは、あまりにも出来過ぎじゃないか。この日一番夢中になってペンライトを振った。ライブが終わり、最後のあいさつは「またね」。この言葉を信じられるイベントになるなんて思ってもみなかった。演者さんがはけた後も、拍手はなかなか鳴りやまなかった。それはきっと祝福だったのだと思う。

二次元アイドルコンテンツ、というものは厄介なもので、そこで生まれたキャラクター達は、好きになってしまった時点で、少なくとも自分の中で確かに存在してしまう。特にソーシャルゲームという形でそれが提供される昨今では、リアルタイムで更新され続けることで存在を証明し続けるものでもあるだろう。そのような形は確かにキャラクターの実在性を強くしたけど、そのためにはもちろん誰かがずっと動かし続けなければならないわけで。閉じることを明示されない強さは、どこかで望まれない終わりを迎えてしまうというリスクとのトレードオフだ。是非はともかく、そうなってしまっている状況の中で『アイドルコネクト』が終わらなかったことは、本当に幸運だとしか言いようがなくて。そういうものに立ち会えたことを大事にしたいし、イベント前に抱えていた「覚悟」は正反対のものにはっきりと変わった。

 イベント翌日、『Star*Trine』を聴きながら部屋の外に出ると台風一過の青空が広がっていて、こういうことに意味を感じても良いよねと思ったのでこの文章を書きました。
 アイコネ、これからもついていきます。